2010年3月11日(木) 21:28 JST
この本はいわゆる虐待防止を訴える本ではなくて、「児童虐待」がいかに演出され、創られているかを解説する本であるといえるのかもしれない。
児童虐待が増えているということに対して、疑いを持つ人は少ないと思う。
しかし、増えているのは実は、相談処理件数であって、虐待の実数は、増えているのか減っているのかさえ判らないということを、殆どの人が知らない。
勿論、私も知らない。
この本に書いてあったかもしれないが、その辺りは覚えていないので・・・。
おおよそ想像はしていたことだが、このように例を出してマスメディアによって虐待が創られていったことを実証してもらえれば、虐待に関する係わりを見直す必要性も多少なりとも感じずにはいられない。
虐待という概念を自分自身の日常から切り離し、安心してしまうのは間違いである。
勿論、「典型的な家庭として」の情報の受け手という観念に立てば、「社会に虐待は増えている」、「自分は虐待を通報する義務がある」で関わりは終了ということで済むのかもしれない。
しかし、私たちのように何らかの負の観念を背負って家庭を築いている者からすれば、いわゆる、「自分たちには全く関係のない世界」だと言い切ってしまう者達のあまりにも乱暴な思想こそが虐待構築の温床であるような気もするのである。
このサイトを訪れる多くの人は、虐待者側により近い観念を持って、その気持ちに何とか打ち勝って、負のスパイラルから抜け出すべく、日々努力をしているのではないだろうか。
だからこそ、私たちは児童虐待者の心理をよりよく知っているかもしれないし、全ての人間が虐待者に生り得ることも知っていると思う。
しかし、マスメディアは言葉巧みに、虐待者は新しい軍団であり、エイリアンのように自分たちの近くに侵入して、勢力を伸ばし始めているかのように報道をする訳である。
これのメリットとは、いったいなんなのか?
虐待予備軍と既虐待者は全く違うのであるという認識を植えつけることによって、試聴層の大半を占めると思われる虐待予備軍を、虐待者(犯罪者)とは別の位置に置くことによって、支持を得ようとする試みであろうか。
まあ、この本はその答えが書かれている訳ではなく、あくまでも学術論文的スタンスから、様々な考察を導き出しているわけで、その大半は、既定の批判的見解に立っている。
いずれにしても、読みやすい本ではなく、どちらかといえば難しいです。
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